法人の顧問業務を依頼したい

法人の顧問業務は、一度契約するとその税理士と長いお付き合いになることが一般的です。というのも、税理士を変更する際には、「既存の税理士への解約の申し入れ」や「新しい税理士に自分の業界や仕事の流れを説明する」という手間がかかるからです。

会社設立時に安易に「最初に会った税理士でいいや」と決めてしまい、契約後に「何も節税のアドバイスをしてくれない」とがっかりしたものの、税理士の変更は面倒だからそのままという社長は世の中に結構沢山いるのではないでしょうか?

そうならないよう、これからあなたが新しく税理士を探す場合には、慎重に税理士を探すことをお勧めします。

税理士事務所へ依頼するサービスを明確化する

あなたは、どのようなサービスを税理士へ依頼したいか明確にできているでしょうか?

例えば、一人会社(従業員がいない社長1人のみの会社)のように、未だ会社を設立して間もない会社は、「経営分析」や「高度な税務相談」を税理士に依頼する必要性はなく、必要最低限のサービスで税理士コストを抑え、事業を軌道に乗せるために全力を尽くすのが良いでしょう。また、中堅~大手企業であれば、「法人税申告書の作成」や「帳簿作成(記帳代行)」は自社で行えるので、高度な税務相談に対応できる税理士を探す必要があります

このように依頼する顧客が求めるサービスが異なるのと同じで、税理士も事務所ごとに得意とするサービスがあります。依頼する税理士を探す前に、まずは自分が必要とするサービスが何かを明確化しましょう。

小規模企業
(売上1億円未満、従業員3名以下)
中堅企業
(売上10億円以上、従業員数30名以上が目安)
中堅企業
(売上10億円以上、従業員数30名以上が目安)
大手企業
(上場企業又はそれと同等レベル)
法人税申告書の作成
必要

必要

必要

自社で実施
帳簿作成(記帳代行)
必要に応じて

必要に応じて

自社で実施

自社で実施
月次面談
年一回の面談で十分

三か月ごとの面談で十分

毎月面談が必要

毎月面談が必要
節税対策
あまりない

あまりない

ニーズ多い

自社で実施
経営分析
ほぼ不要

必要に応じて

ニーズ多い

自社で実施
高度な税務相談
不要

不要

場合により必要

必要

税理士費用の相場を知る

必要とするサービスを明確化することができた人は、税理士費用の相場感を把握します。

信じられないかもしれませんが、平成13年に税理士法改正があるまでは、税理士報酬規定というのが法律で定められており税理士の報酬は国が決めていました。税理士法改正後は、税理士費用は税理士が自由に決めることができるようになっており、近年では、インターネットで検索するとそれぞれの税理士事務所の凡その費用が分かります。但し、税理士が自由に費用を設定することができるようになった一方で、その見積根拠が細分化されホームページだけでは最終的な金額が分からないという事務所も結構あります。実際に見積を依頼する際には、面談をする前に電話などで確認をすると良いでしょう。

また、税理士もサービス業のため、一般的に税理士費用というのは、その作業時間に応じて費用が計算されることが多いです。つまり費用を安くするなら税理士との面談回数を減らし、会計ソフトへの入力は自分自身で行うということが前提となります。

なお、近年では税理士業界でも顧問料金の価格競争が激化していることから、「顧問業務以外の付加価値業務で追加費用を請求する」というのが税理士業界の一つのトレンドになってます。「決算時に分厚い経営分資料が納品されるが、過去に一度も読んだことがないなど」、料金表に記載されるサービスが自分にとって本当に必要なものなのかを考えて依頼するようにしましょう。

一般的な相場感を以下に記載します。

<準備中>

小規模企業
(売上1億円未満、従業員3名以下)
中堅企業
(売上10億円以上、従業員数30名以上が目安)
中堅企業
(売上10億円以上、従業員数30名以上が目安)
大手企業
(上場企業又はそれと同等レベル)
法人税申告書の作成
必要

必要

必要

自社で実施
帳簿作成(記帳代行)
必要に応じて

必要に応じて

自社で実施

自社で実施
月次面談
年一回の面談で十分

三か月ごとの面談で十分

毎月面談が必要

毎月面談が必要
節税対策
あまりない

あまりない

ニーズ多い

自社で実施
経営分析
ほぼ不要

必要に応じて

ニーズ多い

自社で実施
高度な税務相談
不要

不要

場合により必要

必要

税理士を探す方法

詳細は、次節にて解説しますが、税理士を探すコツをまとめると以下の図のとおりかと思います。

知り合いの紹介 インターネットで探す 紹介会社で活用する
税理士を探す手間
知り合いが探してくれる

検索に時間がかかる

紹介会社が探してくれる
税理士費用
交渉しずらい

相見など安価な交渉が可能

紹介会社の手数料が顧問報酬に上乗せされる可能性あり
仕事の品質
知り合いから事前に確認できる

実際に依頼してみないと分からない

紹介会社に蓄積された情報あり
税理士の相性(人柄)
知り合いからの情報あり

実際に仕事してみないと不明

紹介会社からの情報あるが不明
顧問解約(変更)
解約しずらい

しがらみなし

しがらみなし

知り合いの紹介が一番確実

そんなことは分かっているかもしれませんが、信頼できる知り合いからの紹介が一番良いです。依頼者からしても一定の品質が担保されているので安心して仕事を任せられるのはもちろん、税理士側も紹介者の顔を立てるために、いつもより手厚く仕事をすることが多いです。

<メリット>

・紹介者から一定の品質が担保されている
(税理士側も責任もって仕事してくれる)

<デメリット>

・依頼者の手前、価格の交渉がしずらい。

・一度契約をすると解約しずらい。

インターネットで探してみる

おそらくこのホームページに来ている人は、小規模な会社を経営されていて、周りに税理士の知り合いがいない方が多いのではないかと思います。

じっくりと税理士を探す時間がある場合は、インターネットを使って税理士を検索し、数名の税理士と面談をしてみる方法が良いかと思います。

<メリット>

・相見等により最も安価に交渉ができる

<デメリット>

・税理士を探し、比較することに時間がかかる。

・出会える税理士に限りがある(自分の検索スキルに依存する。)

なお、クラウド会計など利用している(利用したい)会計ソフトが既に決まっている場合は、ソフトウェア開発会社がそのソフトウェアに強い税理士を紹介するサイトを提供している可能性がありますので、そちらから確認するもの良いでしょう。

紹介会社を活用する

税理士を探す時間がない人は、紹介会社を活用することも検討すると良いでしょう。

紹介会社はお客様と税理士を毎日のように引き合わせているので、予算はもちろん業種や得意分野、場合によっては税理士との相性も含め最適な税理士を紹介してくれます。

但し、紹介会社を利用すると、利用者には費用負担が発生しませんが、税理士が紹介会社に紹介手数料が支払うことがが一般的です。紹介会社も営利を目的としているため、当然ですが税理士によっては、通常の顧問料金に紹介手数料を上乗せして見積金額を提示している可能性もありますので注意が必要です。

・比較Biz
https://www.biz.ne.jp/

実際に税理士と面談するときに確認すべきポイントと持参する資料

税理士を探す方法を決めたら、次は面談です。

以下では、面談をする際に気を付けるポイントを記載します。

得意分野を確認する

その事務所が、小規模なお客様をターゲットとしているのか、それとも中堅企業をターゲットとしているのか、それとも業種を絞っているのかなど事務所によって必ず特性があるはずです。

会話の中からその特性を確認し、自分が求めているものと合致するかを確認しましょう。

<事務所の得意分野の例>

・業種特化型:飲食店専門、美容院専門、仮想通貨やネット販売に強いなど・・・

・業務型:開業支援や創業融資に強い(小規模向け)、資産税特化(相続・事業承継分野に強い)、経営分析に特化(中堅企業向け)

・システム特化型:クラウド会計専門、TKC、弥生会計など・・・

担当者を確認する

個人的には一番重要なポイントがここかと思います。結局は人と人の関係、実際に対応してくれる人が誰かというのは、会社の規模などは関係なく重要です。

・顧問契約をしたら、誰が窓口として対応してくれるのか(代表の先生なのか、税理士有資格者なのか、スタッフなのか)。

・担当者の年齢や性別、相談し易い雰囲気かどうか(可能であれば面談時に同席して頂き、少し話をしてみると良いでしょう)

・問い合わせの方法は何か(電話、メール、チャットなどOKか)、問合せ件数で顧問料が増減しないか。

・レスポンスは的確で早いか(一番ストレスが溜まるところです。できれば相談前にメールなどで気になることを質問してみてみましょう)。

税理士費用を確認する

最後に税理士費用の確認です。必ずしも安い方が良いという訳でもないので、見積書が提示された場合は、以下のような点を確認すると良いでしょう。

・見積書に含まれていない内容はないか。(給与計算、年末調整、償却資産税の申告、税務調査の立会費用、社長個人の確定申告など)

・見積金額は、相場と極端にかけ離れていないか。

・会計ソフトに指定はないか。(クラウド会計に対応できないなど)

・節税などの提案はしてくれるのか。

・中途解約の場合の手続き(契約期間中に解約ができるのか)

持参する資料

一般的には、以下の資料があると面談がスムーズに進みます。実際に面談をする際には、どのような資料が必要か確認するようにしましょう。

<持参した方が良い資料>

・過去3期分の決算書(法人成りの場合は個人事業主の確定申告書)

・法人の登記簿謄本の写し

・法人の定款の写し

・設立時に税務署などへ提出した届出書の写し

名古屋市における税理士事務所の種類

税理士事務所には、先生1人の個人で事務所を経営している事務所から、税理士数十名規模の大きな税理士法人まで、その規模は様々です。

名古屋市内で法人顧問業務の税理士を探すにあたっては、大手、中堅、小規模と3つの事務所に大別されますが、大手の税理士事務所や中堅の事務所の多くは、本社が東京にあり、名古屋に支店を出しているという形態の事務所ばかりでしょう。

名古屋に本社がある税理士事務所で、大きな事務所といえば、税理士法人名南経営さんかと思いますが、それでも全国レベルでみると未だ中堅クラスなのでしょう。

そう考えると、一般的な中小企業の多くは、小規模な税理士事務所に依頼することとなりますが、これらの情報が極端に不足しているため、やはり税理士選びは非常に難しいということになります。

大手の税理士事務所

上場会社又はそれと同等規模の会社であったり、外資系の会社を得意とする事務所が多いかと思います。

もちろん、税理士費用も相場よりも高めの税理士事務所が多いのではないかと思います。

【Big4税理士法人】
・EY税理士法人 ・PwC税理士法人 ・KPMG税理士法人 ・デロイトトーマツ税理士法人

【国内大手税理士法人】
・辻・本郷税理士法人 ・税理士法人山田&パートナーズ

【国際準大手税理士法人】
・BDO税理士法人 ・太陽グラントソントン税理士法人

中堅の税理士事務所

基本的には、中堅の会社(売上10億円以上)をターゲットにしている税理士事務所が多いのではないでしょうか。

【中堅税理士法人】
・税理士法人名南経営 ・AGS税理士法人 ・税理士法人みらいコンサルティング など

【資産税特化型会計事務所】
・税理士法人レガシィ ・税理士法人タクトコンサルティング など

【証券化税務特化型会計事務所】
・東京共同会計事務所 ・株式会社青山綜合会計事務所 など

小規模な税理士事務所

【その他、個人会計事務所】
全国に点在する会計事務所の90%以上を占めています。
事務所によってサービスのレベルや強みも異なります。

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